●ワーホリ体験記

2013年度
滞在先：パリ
仕事：サービス業（ホテル　朝食＆お部屋管理）
体験者：小山有理さん

　2013年４月、私は渡仏しました。一年半前からパリでのワーホリを夢見て準備を開始しました。以前からフランス語になんとなく興味があったこと、興味を持ったら実行せずにあきらめられない性格、当時の仕事への満足度やワーホリビザの申請資格年齢等の理由から決断しました。

　毎日ＮＨＫラジオを聴き、独学でフランス語の勉強をしていましたがなかなか上達が芳しくなく、フランスは他の海外諸国よりも生活するのは大変だとよく耳にしたりと大きな不安を抱えていました。そんな中、フランスを専門とするミルジョワ企画に出会いました。佐藤さんの親身で現実的なアドバイス、サポートがなかったら私の１年は違うものになっていたと思います。

　一年を終えて、心から行ってよかったと思います。この一年は私の人生の中で最も実り・学びの多い年のうちの一年でした。佐藤さんのおかげで素敵な同僚たちと働くことができ、私は幸運でした。渡仏当初には自分一人の力では到底見つけられない仕事でした。言葉もろくに出来ず、ホテルでの就業経験もない外国人の私を雇ってくださったことにとても感謝しています。初めは皆が言っていることが分からず思うように仕事ができず、体力も追いつかず、文化も思っていたより異なり予期していなかったホームシックになりました。人間関係で苦しんだこともありました。思い出しただけでも今でも涙が出ます。辛くて諦めかけて佐藤さんにも多大なご迷惑をかけたこともありました。

　でも、諦めなければ道は開けます。自分が変われば周りも変わります。
日本でよく言われる諦めない＝我慢、沈黙とは違い、自分の考えていることを言葉にして伝えるという点が大きな違いだと経験しました。佐藤さんがおっしゃっていた、“雄弁は金”という言葉、本当にそう思います。ですが当時は、日本の文化で育った私にはとても難しいことでした。私は以前カナダにワーホリで行ったこともあり、自己主張はできる方だと思っていましたが、ここで自分がどれだけ日本的な対応をしていたのかということを再認識しました。問題があっても、弱音を吐いてはいけない＝黙って自分が我慢する、と自分の首を自分で絞めていたのです。幸運にも、私の上司がとても公平で愛情のある正義感の強い方だったこともあり、困っていることについて正直に話してからは親身にサポートしてくれました。彼女のような心から信頼できる上司は、国を問わずとても貴重な人材だと思います。彼女に出会えたことは大切な財産となりました。

　また、フランスで働く人々の働き方、働くためのシステム、人生を楽しむ姿勢は日本とは全く異なっていました。旅行で行ったらもちろん分からない、短期で行っても分からないことです。特に出産や育児を経る女性が、とても働きやすいことに驚きました。日本ではまだまだハンデととらえられがちですが、私の職場では家庭を持つ女性たちが、なんということもなく家庭と仕事の両立をしていました。一番大きいのは、それが普通だという社会認識、理解をされていることでしょう。すばらしいと思いました。

　海外で生活することはそれなりに大変なこともあります。一方で、自立できる、自分の意見をしっかり持つ、忍耐強くなる、日本を外から見ることができる、自分の価値観をより明確にできる、等々個人的には良い面の方が多いと感じました。特にパリでは、人間的に強くなると思います。もちろん、学ぶことの質、量は自分のスタンスによるところが大きいです。何事にも学びはあるものです。それを身に出来るかは自分次第です。貪欲に積極的に学ぼうとする姿勢があれば、必ずいい結果に通じます。今後もこの姿勢を忘れずにいたいと思います。 渡仏前からずっと佐藤さんに心構えの仕方をアドバイスして頂いていたことや、フランスという国がどれだけ厳しい国であるかというお話、そういったことが本当に役に立ちました。今なら彼女がどうして一生懸命そういった話をしてくださったのかよく分かります。また、彼女からは人間として大事なことは何かということも教えて頂きました。
今後も、新たに渡仏される方々の滞在が実り多きものになりますよう祈ります。